2026/07/04

家事動線で後悔した話――鈴鹿市で建てた施主が入居後に気づいた「洗う・干す・しまう」のズレ

「なんとなくOK」が崩れたのは、7月の洗濯物だった

梅雨が明けても、三重県の7月は蒸し暑い日が続きますよね。鈴鹿市や津市は伊勢湾と鈴鹿山脈に挟まれた地形で、湿気が抜けにくく、外に干した洗濯物がなかなか乾かない日が多いんです。「今日も乾かなかった……」という小さなストレスが、毎日少しずつ積み重なっていきます。

鈴鹿市で家を建てたある方のお話を聞いて、「これは設計の段階で防げた話だ」とはっとしました。

打ち合わせのときは「洗面室に洗濯機があるから、家の中での動きやすさ(動線)はOK」と納得されていたそうです。ところが入居した7月、洗濯物を抱えてリビングを横切り、室内干しの場所を探して廊下をうろうろし、たたんだ洗濯物の置き場に迷ってソファの上に積んでしまった。後悔というより、「なんでこんなに疲れるんだろう」という感覚が先に来たといいます。

問題は「洗濯機の位置」ではありませんでした。洗う・干す・しまうという3つのステップの間に、小さなズレがいくつも挟まっていたことでした。この記事では、そのズレがどこで生まれるかを順番に整理していきますね。


【洗う】洗面室と洗濯機の位置は正解だったのに、なぜ疲れる?

「洗面室に洗濯機がある」は多くの家で一般的な配置ですよね。でも、それだけでは家の中の動きやすさは完結しないんです。

疲れの分かれ目は、洗面室の中に何がまとまっているかにあります。

よくあるズレのパターンを挙げてみますね。

  • 洗剤はキッチン下の収納に置いていた(洗濯のたびにキッチンへ取りに行く)
  • タオルは廊下の収納にあった(洗い終わるたびに廊下へ出る)
  • 脱いだ服の一時置き場がなく、洗濯機のふたの上に積んでしまう

一つひとつは小さなことです。でも三重県の7〜8月は蒸し暑さから洗濯の回数が増えやすい季節でもあります。1回あたりの小さな手間が積み重なると、じわじわと疲れにつながっていきます。

設計の段階で考えておきたいのは、洗剤・タオル・着替えが洗濯機のすぐそばにまとまっているかどうかです。後から家具で対応しようとすると、洗面室の広さによっては難しいこともあります。大工さんが現場で寸法に合わせて作り付ける棚や収納(造作の棚や収納)を間取りの段階で組み込んでおくことで、「洗う」の動きやすさが整いやすくなりますよ。


【干す】室内干しの場所を「後から決めた」ことの代償

三重県の7月は、外干しが思うように進まない日が多いです。室内干しスペースは「あれば便利」ではなく、設計の段階でしっかり織り込んでおきたい大切な要素なんです。

後から対応しようとすると、こういうことが起きやすいです。

  • リビングに室内干し用のバー(天井に取り付けるホスクリーンなど)を後から付けたら、ダイニングテーブルの真上になってしまい、食事中に洗濯物が目に入る
  • 廊下に干したら通路がふさがれて、家族の動きが詰まる
  • 「とりあえず浴室乾燥で」と使い続けたら、電気代や使い勝手が気になってきた

間取りの作り方にも関係するお話があります。洗濯機が1階にあり、干す場所が2階のホールという上下の移動が生じると、夏の盛りに階段を上り下りする体の負担が増します。湿った洗濯物を抱えて毎日階段を上がる作業が、どれだけ積み重なるか、ちょっと想像してみてください。

「洗う」と「干す」が同じ階・同じ場所で完結するのが理想的です。洗濯専用のスペース(ランドリールーム)や、洗面室の横にちょっとした作業スペースを間取りの段階で設けることで、この上下の移動を減らせます。「干す場所」を図面にはっきり書き込んでおくかどうかが、入居後の感覚を大きく変えますよ。


【しまう】たたんだ洗濯物はなぜいつもソファの上にある?

干し終わって、たたんだ。でも各部屋のクローゼットまで運ぶのが面倒で、ソファや寝室のベッドの上に積まれたまま数日経つ——こういう経験、ある方も多いのではないでしょうか。

原因は「面倒くさがり」ではないんです。「しまう場所」が家の各所に分かれているからなんですよね。

たたんだ後に「夫の分は寝室のクローゼット」「子どもの分は子ども部屋のタンス」「自分の分は……」という仕分け作業がもう一仕事として発生します。それが面倒で、つい「あとで」になってしまいます。

もし家族全員分の衣類収納が、洗濯の動きやすい場所の近くにまとまっていたら、たたんでその場でしまえます。「しまう」の手間がぐっと減りますよ。

家のすべての部屋の床面積を合計した広さ(延べ床面積)を広げなくても、収納の位置と量を家事の動きやすさに沿って設計することで実現しやすくなります。大工さんが現場で寸法に合わせて作り付ける収納や棚(造作家具)が標準の仕様として組み込まれていると、「動きやすさに沿った収納の配置」を設計の段階から具体的に考えやすくなります。

7月の夏本番は、汗をかいた衣類の洗い替えが増える季節です。収納の量が足りなかったり動きやすさにズレがあったりすると、この時期にいちばん感じやすくなります。夏こそ、収納と動きやすさの設計が暮らしの快適さに直結しますよ。


打ち合わせ中に「動線のズレ」を見つける3つの問いかけ

ざっくりしたチェックリストより、平面図を目の前にしながら自分に問いかけられる具体的な問いのほうが使いやすいですよね。打ち合わせの場でそのまま使える3つを挙げますね。

① 洗剤・タオル・着替えは、洗濯機のすぐそばに収まるか
平面図の上で指で追ってみてください。洗濯機のそばに洗剤・タオル・着替えが収まるスペースがあるかどうか確認してみてくださいね。

② 室内干しスペースは間取り図に明記されているか、後付け想定になっていないか
「後から室内干し用のバーをつければいい」という前提は少し危ういです。干す場所が図面にはっきり書かれているかどうかを確認してみてくださいね。

③ たたんだ洗濯物をしまうクローゼットは、干す場所と同じ階・同じゾーンにあるか
上下の移動が発生しないかどうかを、階ごとに確認してみてくださいね。


鈴鹿市・津市エリアで土地探しから始める場合、土地の形(南北に細長い・細い通路の奥にある土地〈旗竿地〉など)によって間取りの自由度が変わります。洗濯の動きやすさを1階で完結させたいなら、ある程度の間口や光の入る向きが必要になることもあります。土地を決める前に、どのゾーンに何を置くかのイメージをざっくりでも持っておくと安心ですよ。

また、打ち合わせで決めた動きやすさの意図が、工事まできちんと引き継がれるかどうかも大切です。幸三建設では設計と工事の管理を自社で一貫して行っており、「打ち合わせで決めたはずの作り付け棚の位置が現場で変わっていた」といったことが起きにくい体制づくりを心がけています。

「後悔した話」を入口にしてきましたが、打ち合わせの段階でこの3つの問いかけを持てれば、多くのズレは見つけやすくなります。間取りは完成してからでは変えにくいですが、設計中なら柔軟に動かせます。問いを持って打ち合わせに臨むことが、入居後の暮らしを変えますよ。


家事の動きやすさや収納の配置について、土地探しの段階からでも気軽に相談できます。気になることがあれば、お気軽にお問い合わせくださいね。


よくある質問

Q. ランドリールームを作ると面積が増えてコストが上がりませんか?
A. 面積を増やさずに対応できるケースもありますよ。今ある洗面室・脱衣室の使い方を見直し、大工さんが現場で作り付ける収納(造作収納)の配置を工夫することで動きやすさを改善できる場合があります。「コンパクトでも狭くない」という設計の考え方は、面積ではなく収納と動きやすさの配置で暮らしやすさをつくることを大切にしています。

Q. 断熱等級と家事動線は関係ありますか?
A. 関係があります。室内干しスペースを設ける場合、湿気や温度の管理は断熱・換気の計画と連動します。室内の環境が安定していると、室内干しの乾きやすさや湿気のこもりにくさにも影響しやすい傾向があります。幸三建設では、2026年6月時点の省エネ基準における断熱等級5(家の断熱性能を国が定めた基準で、数字が大きいほど高い性能とされています)を標準仕様として採用しており、ご要望に応じて等級6への対応についてもご相談いただける場合があります(等級の定義・基準は法令改正により変わる場合があります)。

Q. 土地がまだ決まっていない段階で家事動線の相談はできますか?
A. できますよ。土地の形や向きによって間取りの自由度が変わるため、土地探しと並行して動きやすさのゾーン分けを考えておくことがとても有効です。幸三建設では土地探しのサポートも行っており、「この土地でランドリー動線を1階で完結させたい」といったご要望を土地選びの段階から一緒に考えることができます。